町が動き出したら、やりたかったこと

芸術鑑賞、山歩き、写真撮影、カフェでのんびり

全部叶えられる場所があったことを思い出して、箱根のポーラ美術館へむかった。

(普段は、箱根の山道の運転が苦手で、なかなか出向こうとは思わないのだけど)

 

 

普段ならば、たくさんの人で賑わって、座ることができない、
ガラス張りの天井の下のカフェの席も、今日は私のもの。

この美術館のガラスの屋根の上には、水が流れる設計になっていて、
ゆらゆらと揺れる光が空から降ってくる。

白い壁と床に反射した光は、そこら中を遊びまわって、
テーブルの上のケーキもキラキラさせる。

 

 

建築のことは、全くわからないけど、設計士の人が、
ここまで計算していたことは間違いない。

 

今回の展示内容は、マティスとモネが、産業革命や戦争など、激動の時代を生きる中で、「ここではないどこか」を求めて、絵を描くためのプライベートな楽園を作ったことにフォーカスしている。

 

モネは、ジベルニーに庭を
マティスは、ニースにアトリエを

 

彼らの絵画を見ていると、文化や自然が輝く時代ばかりを生きてきた様に感じるのだけど、
そうではなく、
美しい表現を求めるために、もがいてきたのだという事を知った。

最近規制を受けていた自分たちの暮らしと、重なり合う何かを感じた。

ここでダメなら、自分が動く。
これでダメなら、新しい価値を作る。

共感できる何かを見つけると、
心の中のわだかまりみたいなのが、フワーっとどこかへ飛んでいく。

 

来館者の少ない今だけの特別は、一枚一枚の絵画と向かい合えること。

いつもなら、人の頭越しに見ることの多い絵画でも、時間をかけて、
自分の内面と画家の心情とを照らし合わせることができる。

 

 

マティスの色使いには、
花の組み合わせやラッピングの配色でも活用できそうなものがあるなーと勉強になったり、

モネが町から自然に目を向ける様になっていった、
心の動きに興味が湧いたりしたけれど、

私が、何度も立ち止まって見入っていたのは、
ピエール・ボナールの作品だった。

構図の取り方や筆使いが、普通と違っていて、ゆがんだ印象を受ける。
その違和感をきっかけに、どんどん奥まったところへ連れて行かれる気がする。

以前から好きな画家ではあったのだけど、誰の描いたものとも分からずに、
美術館に案内されるままに順路を進む中で、必ずピエール・ボナールの絵の前で立ち止まってしまうのは、
いよいよ本当だな、と思った。

 

 

絵画鑑賞の後は、美術館の周りの林道を散歩して、
温泉にとっぷり浸かって、温泉施設のお姉さんとたくさん喋って帰った。

制限された小さな世界でも、少しの冒険と思いきりを楽しんで、
良い休日となりました。

 

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